NTTコム、アジア主要都市を高信頼・低遅延でつなぐ光海底ケーブルを運用開始
NTTコミュニケーションズ(略称:NTT Com)は9日、Telekom Malaysia(本社:マレーシア)、PLDT(本社:フィリピン)、StarHub(本社:シンガポール)と共同で建設を進めてきた、アジア主要都市を結ぶ高信頼・低遅延の大容量光海底ケーブル「Asia Submarine-cable Express(略称:ASE)」を、8月20日より運用開始すると発表した。これにより、アジア域内の保有ケーブル容量をさらに強化するとともに、複数のケーブルルートを保有することで冗長性を確保し、信頼性の高いグローバルネットワークサービスを拡充する。
ASEは、これまでに地震や台風などを原因として頻発した台湾南沖バシー海峡付近でのケーブル故障回避を考慮するとともに、日本-シンガポール間のケーブル敷設距離を最短ルートで設計した、より信頼性の高い低遅延の光海底ケーブル。総延長は約7,800km、容量15Tbps以上で、陸揚げ地は日本、フィリピン、シンガポール、マレーシア、香港(2013年第一四半期予定)となっている。同ケーブルを利用した場合、東京-シンガポール間の遅延値は業界最低の64ミリ秒台となり、既存の海底ケーブルを利用するルートと比べ約3ミリ秒以上の短縮を実現した。
今後NTT Comなどは、日本とアジアをつなぐネットワークにおいて、ASEの高信頼性・低遅延性を活かしたサービスを順次開始する。ASEは、2012年4月に開設したシンガポールのセラングーンデータセンターにも直接接続されており、NTT Comのネットワークサービスとクラウドサービスをエンド・エンドかつワンストップで利用できる。
具体的には、グローバルに展開する専用線サービス「Arcstarグローバル専用サービス」に、ASEを活用した遅延値の低いルートを追加し、8月20日より提供開始する。同サービスは日本-シンガポール間で最低遅延を実現する。また、日米間を結ぶ光海底ケーブルPC-1経由で最低遅延を実現する東京とCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)が所在するシカゴを結ぶルートなどと組み合わせることで、アジアと米国の複数の都市間で高品質の専用サービスを提供可能。迅速な売買指示や情報取得が必要な金融商品の高頻度取引など、金融機関の顧客にも最適のサービスとなる。
そのほか、グローバルに展開する企業向けデータ通信サービス「Arcstar Universal One」のバックボーンにASEを追加し、台湾南沖でのケーブル故障リスクを軽減する予定。また、アジア、米国、欧州などを高帯域なバックボーンでカバーし、グローバルTier1プロバイダとして世界の主要ISPやコンテンツ事業者と直接接続しているNTT Comの「グローバルIPネットワーク」において、2012年8月中にASEをバックボーン回線として追加する。
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