2022年インドスマートフォン市場における出荷を発表〜前年比9%減で高価格帯機種セグメントのシェアが初めて二桁台となる〜
2022年インドスマートフォン市場における出荷を発表〜前年比9%減で高価格帯機種セグメントのシェアが初めて二桁台となる〜【写真詳細】
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research 以下、カウンターポイント社)は、2022年インドスマートフォン市場における出荷は前年比9%減となる1.52億台となったという調査結果を含むMarket Monitorによる最新調査を発表致しました。
インドスマートフォン市場において初となる前年割れは、年初の部品不足の影響を受けたエントリーレベルやコストパフォーマンス価格帯機種の低迷と、通年続いた需要の弱さが背景にあります。その一方で、高価格帯セグメントは伸び続け、初めて二桁台のシェアを確保し、小売りのASP(平均売価)の伸びに貢献しています。
インドスマートフォン市場動向に関して、カウンターポイント社シニアリサーチアナリストPrachir Singh氏は次の通り述べています。
「世界経済を変調させたマクロ経済の諸問題、例えば、定常的なインフレ、失業率増加、地政学的衝突は、インドにも影響を与えた。このため、第2四半期に入ると、消費者の需要が落ち込み始めた。これによって、第2四半期以降、流通チャネル全体で在庫が積みあがり、下半期全体を通して期待を下回る出荷数量になってしまった。2023年上半期も在庫と需要の問題は市場に悪影響を及ぼし、市場の回復は祝祭シーズンや5Gへのアップグレードが期待される下半期以降となりそうである。」
また、競合状況と価格帯の分析に関して、カウンターポイント社リサーチアナリストShilpi Jain氏は次の通りコメントしています。
「出荷は減ったものの、高価格帯スマートフォン市場は2022年を通じてシェアを拡大し、過去最高の11%に達した。パラドックスのように見えるが、これはインドスマートフォン市場が量から質へと変化していることの表れである。エントリーレベルやコストパフォーマンス価格帯機種のセグメントは経済状況の影響を大きく受けたものの、高価格帯セグメントは悪条件への抵抗力があり、二桁成長を果たした。メーカーが高価格帯機種にシフトしていること、消費者が高価格帯機種に搭載される機能を求めて買い替えていること、そしてさらに重要なのは、「No-cost EMI」(カード会社が提供する、金利の不要なリボ払いの仕組み)、「Buy Now, Pay Later (BNPL)」、「Samsung finance+」などの多様な支払いプランが提供されていることで、高級化のトレンドが加速している。メーカー各社の高価格帯機種重視と消費者のアップグレード加速により2023年も高級機セグメントの活況は続きそうである。」
図1: インドスマートフォン市場シェア率2022年と2021年の比較
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM3Nzc0NSMzMTI4MjcjNzc3NDVfSmFNUXdQelJ6Yy5qcGc.jpg ]
出典: Counterpoint Research Market Monitor, Q4 2022
※Xiaomiの数字にはPOCOを含む
※OPPOとOnePlusは別集計
※vivoはIQOOを含む
※四捨五入した数値にて表示
図2: インドスマートフォン市場シェア率2022年第4四半期と2021年第4四半期の比較
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM3Nzc0NSMzMTI4MjcjNzc3NDVfaFlXU2hHZUdjbC5qcGc.jpg ]
出典: Counterpoint Research Market Monitor, Q4 2022
※Xiaomiの数字にはPOCOを含む
※OPPOとOnePlusは別集計
※vivoはIQOOを含む
※四捨五入した数値にて表示
全体として、インドスマートフォン市場の売上は、出荷が前年比9%下落したにも関わらず、横ばいという結果となりました。Samsungはインドスマートフォン市場をリードし、20%のシェアを確保しました。高価格帯機種の業績が良く、特にGalaxy S22シリーズが好調であり、Samsungは高価格帯機種でシェアを伸ばすことができ、再び第2位の座につくことができました。Appleは2021年の売上シェア第4位から躍進し、2022年には第2位となりました。iPhone 13は2022年のベストセラースマートフォン機種の座を獲得しました。中国メーカーは総じて売上を落とし、中国メーカー全体の売上シェアは2021年の65%から2022年は65%へと低下しました。
図3: 2022年インドスマートフォン市場レベニューシェア率 2022年と2021年の比較
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM3Nzc0NSMzMTI4MjcjNzc3NDVfV1JlcEZIWnN2ZC5qcGc.jpg ]
出典: Counterpoint Research Market Monitor, Q4 2022
※Xiaomiの数字にはPOCOを含む
※OPPOとOnePlusは別集計
※vivoはIQOOを含む
※四捨五入した数値にて表示
【 市場サマリー 】
Xiaomiは2022年第4四半期こそ第3位に転落したが、2022年の通年では首位を守った。但し、シェアは前年比で24%低下した。法的な問題、部品不足、競争激化に見舞われ、Xiaomiにとって2022年は厳しい年となった。祝祭シーズンにオンラインチャネル(ネット通販)で在庫が積みあがったことで、2022年第4四半期の出荷はさらに足を引っ張られた。
Samsungは2022年の通年では第2位であるが、2022年第4四半期に限れば首位に浮上した。トップ5社の中で業績が落ちず、横ばいを保つことができたのは同社だけである。Samsungは5Gスマートフォンメーカーとしても2022年は21%のシェアでトップだった。高価格帯機種の中でも、コストパフォーマンス性に優れる価格帯(30,000~45,000インドルピー/約48,000~72,000円)においても、Aシリーズの業績復活と祝祭シーズンでの魅力的な販売キャンペーンのおかげで、同社は首位を獲得した。最高級セグメント(45,000インドルピー/約72,000円超)においても、最速で成長中である。
vivoは2022年第4四半期の第2位、通年でも第3位を守った。また、出荷額においても2022年の第3位を獲得した。オフライン(路面店)に経営を集中させたことが、2022年第4四半期の業績に繋がった。求めやすい値付け戦略でvivoはユーザー数を伸ばし、子会社のIQOOはオンライン市場での存在感を増している。また、TシリーズとVシリーズが貢献し、5Gスマートフォン出荷についても2022年は17%のシェアで第2位となった。
realmeは2022年に第4位に転落した。需要が一番冷え込んだ、10,000インドルピー(約16,000円)未満のセグメントの品ぞろえが多いことが災いし、前年比14%の減少となった。在庫が積みあがったこと、10,000インドルピー未満のセグメントで市況が悪かったこと、経済全体が逆風だったこと等、多くの要因が2022年のrealmeの足を引っ張った。しかし、同社は中価格帯の機種と5G対応に注力しており、年末に向けてすべて5G対応、15,000インドルピー(約24,000円)超で機種を揃えつつある。
OPPOはインドのスマートフォン市場で第5位を維持したが、前年比7%の減少だった。低価格帯のポートフォリオを刷新して台数を伸ばしたが、ビジネスの重点は引き続き「中の上」価格帯(20,000~30,000インドルピー/約32,000~48,000円超)にあり、Fシリーズの好調によってこのセグメントでは80%の伸びと最速で成長している。
Transsionグループのitel、Infinix、TECNOは合わせてインドの携帯端末市場の12%のシェアを獲得し、2022年の第3位を守った。6,000インドルピー(約9,600円)未満のセグメントでは、itelはA27とA23 Proの販売が好調で、売上トップである。itelは2022年のフィーチャーフォン市場でもトップだった。TECNOはSpark Go 2022とPop 5 LTEシリーズが好調で、8,000インドルピー(約13,000円)未満のセグメントで第3位だった。InfinixとTECNOは高価格帯に事業をシフトさせており、年末に高価格帯機種市場への参入を果たした。
Appleは2022年に前年比16%成長した。高価格帯機種セグメント全体(30,000インドルピー/約48,000円超)と、最高級価格帯機種セグメント(45,000インドルピー/約72,000円超)での首位を守っている。インドスマートフォン市場全体で、iPhone 13が2022年のベストセラー機種だった。また、Appleは2022年第4四半期の出荷額ベースでもインドスマートフォン市場の首位だった。いまや、インドはAppleにとって戦略的に重要な市場となっている。Make in India政策(インド政府による国内での製造を奨励する施策)に対応した国内向け及び輸出向け製造拠点の増強、大規模小売店(LFR)を通じたオフラインでのシェア拡大、それに祝祭シーズンでの積極的な販売プロモーションがインドでのAppleの成長に繋がっている。
OnePlusは、OnePlus Nord CE 2シリーズが好調で、2022年は前年比50%の成長となった。高価格帯機種の中でのコストパフォーマンス価格帯では22%のシェアで第2位を獲得している。またNord CE 2 Liteは20,000インドルピー(約32,000円)未満のセグメントにおける5G機種として、2022年のベストセラーだった。OnePlusはポートフォリオがカバーする価格帯を広げて多様化を進めており、合わせてオフラインでの存在感も増すことで販売を強化しようとしている。
本プレスリリースに関する詳細並びに情報は、こちらからご覧いただけます。
https://report.counterpointresearch.com/posts/report_view/CountryReport/3653
今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したものです。 (調査時期:2022年10月1日~2022年12月31日)
【カウンターポイント社概要】
Counterpoint Technology Market ResearchはTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んだ経験を持つ。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/
プレスリリース情報提供元:ValuePress!
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