ICS研究所・NTT Com・NTTセキュリティの3社が、サイバー攻撃に備えた実践的なIoTセキュリティ対策の体験学習プログラムを開始
取り組み概要図【写真詳細】
株式会社ICS研究所(以下 ICS研究所)、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)およびNTTセキュリティ・ジャパン株式会社(以下 NTTセキュリティ)の3社は、製造業やシステムエンジニアリング企業などの、製造/制御システム(※1)や各装置の設計・構築・運用を行う技術者を対象に、サイバー攻撃に備えた実践的なIoTセキュリティ体験学習プログラムを2018年2月1日より開始します。なお、本プログラムの受講者と、さらなるベンダー企業の募集を2017年11月29日より開始します。
1.背景・目的
IoT(Internet of Things)の普及に伴い、企業の基幹業務システムや工場の制御システムなど、重要なインフラ基盤がサイバー攻撃の標的となっています。これにより企業は、システム設計の初期段階からサイバー攻撃に強いシステム構築や、OT(Operation Technology)(※2)領域におけるセキュリティ対策が必要です。
しかし、Industry4.0(※3)を提唱したドイツなど製造業のIoT化を推進する主要国と比べ、日本ではセキュアなOT環境の実現に向けた研究や人材育成の取り組みが遅れていることから、ICS研究所、NTT Com、NTTセキュリティの3社は、実践的なIoTセキュリティ技術を保有する人材の育成を目指し、「講義形式の学習」と「ハンズオン(※4)(体験型学習)環境の実習」を同時に受講できるプログラムを、協力ベンダー企業とともに提供します。
2.プログラム概要
製造/制御システムや各装置の設計・構築・運用を行う技術者が日頃抱えている課題を解決するとともに、実践的なIoTセキュリティ人材を育成することを目的に2つのプログラムを提供します。
なお、本プログラムは、複数企業のセキュリティ対策製品・技術などを1つのハンズオン環境内に実装しており、業界的にも新しい取り組みです。
(1)学習プログラム(有料)(※5)
Eラーニングおよび講義形式で、サイバー攻撃の脅威を十分に理解するとともに、被害を防ぐためのシステム設計構築方法やインシデント対処方法などを学習できるプログラムです。
(2)技術検証プログラム(無料)
学習プログラムで習得したセキュリティ技術や知識をもとに、実際に業務で利用する製造/制御システムや各装置の一部を用いたハンズオン環境を構築し、今後導入を検討している複数社のセキュリティ対策製品の技術検証や、日頃の課題解決についての体験学習ができるプログラムです。
3.各社の主な役割
・ICS研究所:重要インフラ(※6)や工場などで導入されている製造/制御システムの実用的なセキュリティ対策技術、および教育コンテンツなどを提供します。
・NTT Com:ハンズオン環境の基盤となるネットワーク・クラウドサービスを提供します。
・NTTセキュリティ:Security Operation Center(※7)運営などで培ったIT領域のサイバーセキュリティ対策技術やノウハウ、試験用ツールなどを提供します。
※ハンズオン環境は、3社で協力して構築します。
4.協力ベンダー企業
セキュリティ対策製品、製造/制御システムを構成する各装置、および試験用ツールなどの提供に協力いただきます。
【現時点での参加予定企業】
・株式会社カスペルスキー
・日本シノプシス合同会社
・アズビル セキュリティフライデー株式会社
・トレンドマイクロ株式会社
・マカフィー株式会社
※さらなる参加をお待ちしております。協力いただけるベンダー企業のみなさまは iot-testbed@ntt.com までご連絡ください。
5.プログラムの開始日程・受講対象者・受講方法
応募開始日程 :2017年11月29日
受講開始日程 :2018年2月1日(予定)
受講対象者 :製造/制御システムや各装置の設計・運用・保守に携わる技術者
受講方法 :以下どちらかより応募ください。
(1)メール iot-testbed@ntt.com
(2)Web ICS研究所EラーニングeICSサイト内の
「お問合せ」フォーム
6.今後の展開
ICS研究所、NTT Com、NTTセキュリティの3社は、本プログラムで得た成果・ノウハウを、各社のセキュリティサービス開発・改良に活かしていきます。あわせて、あらゆる業界の企業・団体にも展開することで、共同検討・共同実験などを推進し、ICTを活用した新しいセキュリティソリューションや新サービスの創出を支援するとともに、安心・安全な産業制御システム(※8)の実現に貢献していきます。
なお、11月29日(水)から12月1日(金)に東京ビッグサイトで開催される「SCF2017/計測展2017 TOKYO」のVEC(※9)ブース内にあるICS研究所のコーナーにおいて、本プログラムを紹介します。
7.有識者からのコメント
VEC会長/東京農工大大学院 教授 山下 善之氏
ハンズオンは、学習した知識を実際に活用できるようにするために非常に有効な方法です。今回のプログラムは、サイバーセキュリティ対策技術を製造現場に導入する際に大いに役立つはずです。このような形で、産業界に貢献できるVEC会員企業同士のコラボレーションが広がっていくことを喜ばしく思います。
名古屋工業大学 社会工学科経営システム分野 教授 橋本 芳宏氏
ハンズオンは大変良い取り組みだと思います。私の研究室でも実験装置を使ってサイバー攻撃を体験していただく演習を行っていますが、来られた方はみなさん「話としては知っていても、実際に目にすると理解が進む」と言われます。様々なセキュリティツールを実際に触り、その性能を確認しながら、セキュリティ対策の仕様を検討できるという試みは、たいへん貴重で有用であることは間違いありません。ぜひ、多くの方に体験いただきたいと思います。
株式会社ICS研究所 代表取締役社長 村上 正志氏
製造システムや計装制御プラントのシステム設計の熟練者でも、サイバーリスクアセスメントをベースにシステム設計の仕事をしたことが無いのが現状です。そのため、製造/制御システムのセキュリティ対策技術は、現場のOJTで学ぶことができない対策技術とも言えます。研修やe-learning教材で知見としては学んでいても、実際に現場の実状に合わせたシステム設計をするのは難しい。そこで今回のハンズオン(体験学習)が誕生しました。これにより、プラントや製造/制御システムのサイバーリスクアセスメントを実証実験の結果をもとに実施できるようになります。
【別紙1】取り組み概要図
https://www.atpress.ne.jp/releases/144163/img_144163_1.jpg
【別紙2】ハンズオン環境の機器構成と実習内容のイメージ図
https://www.atpress.ne.jp/releases/144163/img_144163_2.jpg
※1:製造/制御システムは、企業が、プラント・工場・重要インフラ設備などの操業を計画通りに、管理・制御することを目的に導入する装置群。
※2:OT(Operation Technology)は、システムの運用技術。近年OTの高度化がITの発展に欠かせないといわれている。
※3:Industry 4.0は、ドイツ政府が2010年に提唱し、産官学の協力のもと製造業の高度化を推進しているプロジェクト。第四次産業革命の起点とも言われ、その後世界の主要国で、同様の取り組みが広がっている。
※4:ハンズオンは、体験型学習を意味する教育用語。本件では、実際の製造現場と類似する疑似環境において、ネットワークやシステムなどを実際に使い学習することを指す。
※5:ICS研究所が提供するセミナー研修(講義形式)とeICS(Eラーニング)の学習プログラムセット料金。
※6:重要インフラは、国民生活および社会活動に不可欠なサービスを提供している社会基盤。情報通信/金融/航空/鉄道/電力/ガス/政府・行政サービス/医療/水道/物流の10分野が該当する。
※7:Security Operation Center(SOC)は、企業などにおいて、セキュリティ機器やネットワーク機器を監視し、ITシステム/OTシステムへ忍び寄る脅威の分析やインシデントの発見を行う組織。
※8:産業制御システムは、重要インフラ・製造業に加え農林水産業も含む産業全体で使用する制御システム。
※9:VEC(Virtual Engineering Community)は、ユーザーニーズ、業界リーダーのシーズ、メーカーの要素技術、エンジニアリング会社の応用技術などを融合し、主に製造業・ビル・エネルギー・電力業界などを対象に、市場動向にマッチする最適なソリューションを展開している任意団体。
■関連リンク
□ICS研究所 https://www.ics-lab.com/ja/
・ICS研究所のE-ラーニングeICS https://www.ics-lab.com/e/
□NTTセキュリティ https://www.nttsecurity.com/ja-jp
・NTT Com http://www.ntt.com/
□グローバルIoTテストベッド
http://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2016/20160218.html
プレスリリース情報提供元:@Press
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