NTTドコモビジネスとTBSテレビが共同でリモートプロダクションセンターを構築
図1. IOWN APNを活用したリモートプロダクションのイメージ【写真詳細】
発表のポイント:
◆放送各社がめざす規模や距離にとらわれないリモートのライブプロダクションを、TBSテレビとNTTドコモビジネスが新規に構築したリモートプロダクションセンターを活用して実現
◆大規模スポーツイベントの生放送中継番組において国内最大規模のIOWN APNを用いた非圧縮伝送によるリモートプロダクションに成功
NTT株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)とNTTドコモビジネス株式会社(旧 NTTコミュニケーションズ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小島 克重、以下「NTTドコモビジネス」)、NTT東日本株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:澁谷 直樹、以下「NTT東日本」)は、映像・音声プロダクションの効率化と高度化を目的として、リモートプロダクションの地上波生放送中継番組における活用(以下、本取り組み)に成功しました。
本取り組みでは、TBSテレビとNTTドコモビジネスが新規に構築したリモートプロダクションセンター(※1)と撮影現場である国立競技場をIOWNオールフォトニクス・ネットワーク(以下、「IOWN APN」)(※2)(※3)で接続することで、制作拠点にとらわれない柔軟な設備環境を実現しました。
1.背景
映像制作において、撮影現場と制作拠点をネットワークで接続し制作を行う手法であるリモートプロダクションなどの映像・音声プロダクションDXは、中継車で多くの機器を現地に用意し、多くのスタッフを現地に派遣する必要があるという業務効率化の課題があります。さらには人口減少による映像・音声系技術者数の不足といった社会課題の解決にも寄与することが期待されており、実現に向け、これまで映像・音声制作装置や技術の標準化や集約化が進んできています。
一方、スタジアムや劇場で実施する大規模なイベントにおいては、中継車や制作スタッフを大量に現地に送り込むことが必要であり、そのコスト抑制と高品質な制作を行う制作環境の確保が課題となっていました。
2.取り組みの概要
本取り組みでは、TBSテレビとNTTドコモビジネスが新規に構築したリモートプロダクションセンターと大規模スポーツイベントを実施している国立競技場(東京都新宿区)を、大容量・低遅延・ゆらぎなしの特徴を持つIOWN APNで接続しました。リモートプロダクションセンターに配備されたスイッチャーパネル、ミキサーなどの映像音声機器に、IOWN APNで接続することでリモートプロダクションを実現し、制作拠点にとらわれない柔軟な設備環境を実現しました。
TBSテレビとNTTドコモビジネスが新規に構築したリモートプロダクションセンターを利用し、IOWN APNはNTT東日本のAll-Photonics Connect powered by IOWN(※4)を用いて構成しました。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/546217/img_546217_1.png
図1. IOWN APNを活用したリモートプロダクションのイメージ
3.本取り組みのポイント
(1)リモートプロダクションセンター
放送各社がめざす規模や距離にとらわれないリモートのライブプロダクションを、TBSテレビとNTTドコモビジネスが新規に構築したリモートプロダクションセンターを活用して実現しました。
(2)IOWN APNの活用
大規模スポーツイベントの生放送中継番組における国内で過去最大規模のIOWN APNを用いた非圧縮伝送によるリモートプロダクションに成功しました。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/546217/img_546217_2.png
図2. 大規模スポーツイベントでの利活用イメージ
4.本取り組みの成果
(1)リモートプロダクションセンターの構築と運用
・TBSテレビとNTTドコモビジネスが新たにリモートプロダクションセンターを共同で立ち上げ、ロード競技や国立競技場内の特設コメンタリーブースの撮影映像と音声をリアルタイムにリモートプロダクションセンターに伝送し、遠隔でのプロダクションを可能としました。
・映像や音声、カメラの制御信号やタリー(※5)の伝送の他に、リアルタイム性や揺らぎのない安定した操作が求められるカメラや照明の遠隔コントロールなど、国内で過去最大級の規模のイベントをリモートプロダクションできる環境を構築しました。
・5Gスライシング(※6)を活用した会場内映像伝送により、会場内観客の様子を、機動力の高いIP中継機器で撮影。混雑環境下でも安定した通信を確保し、撮影映像を地上波生放送で活用しました。
(2)大容量、低遅延、ゆらぎなしのIOWN APN
・過去最大規模の生放送大規模スポーツイベント中継において、リモート拠点の映像20チャネルのリアルタイム送受信を実現しました。
・生放送での無瞬断を実現するために、標準規格のひとつであるSMPTE ST2022-7(※7)の機器構成と、IOWN APN回線の物理ルートの完全異ルート化を実現しました。IOWN APNの超低遅延とゆらぎなしの特性により遅延の変動が発生しない確定遅延で、ルートの遅延差約60μsの高い安定性を実現しました。
・IOWN APNのゆらぎなしの特性による装置間のPTP(※8)を用いた安定した時刻同期で、9日間にわたるイベントを一度もトラブルなく完遂しました。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/546217/img_546217_3.png
写真1. 新規に構築したリモートプロダクションセンター
【TBSテレビコメント】
リモートプロダクションセンターの導入により、将来のライブスポーツ中継や大型イベントでの制作モデルが技術的に変革可能であることを確認できました。現地設営/派遣を最小限とし、地方開催・複数会場中継時の効率性が高まる可能性があります。放送局・制作会社・ネットワーク運営者間での技術連携・標準化の促進につながるモデルケースとなりました。
5.各社の役割
本取り組みはNTTグループとTBSテレビの共同施策として推進しました。
TBSテレビ:リモートプロダクションセンターの構築支援、映像制作
NTT:IOWN APNを活用したリモートプロダクションに関する設計技術支援と結果分析
NTTドコモビジネス:リモートプロダクションセンターの構築と運用
NTT東日本:「All-Photonics Connect powered by IOWN」の提供と運用
6.今後の展開
今後、本取り組みで活用したリモートプロダクション関連技術および5Gミリ波など高度化に資する先進技術をふまえた、リモートプロダクションセンターにおける映像・音声制作のビジネス化検討を共同で進め、映像・音声プロダクションDXの更なる推進による制作の質の向上、音声制作拠点や撮影現場へのアクセシビリティの確保に貢献いたします。
また、この基盤であるIOWN APNの技術を、放送局各局および各制作拠点に展開することで、映像・音声制作業界全体のプロダクションDXの発展による制作の効率化と高度化をめざし、今後も共同で連携を図ります。
【用語解説】
※1:リモートプロダクションセンター
リモートプロダクションセンターとは、スタジアムやアリーナ会場からのスポーツやイベント等での映像・音声信号等を、IPネットワークにて遠隔地にある制作拠点(センター)に伝送し、リモートにてスイッチングやミキシングなどの番組制作を行う形態です。
※2:IOWN
IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想とは、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、光を中心とした革新的技術を活用し、高速大容量通信ならびに膨大な計算リソースなどを提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想です。詳しくは以下ホームページをご覧ください。
■IOWN構想とは
https://www.rd.ntt/iown/index.html
※3:IOWN APN
IOWN APN(All-Photonics Network)とは、ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入し、これにより現在のエレクトロニクス(電子)ベースの技術では困難な、圧倒的な低消費電力、高品質・大容量、低遅延の伝送を実現します。詳しくは以下ホームページをご覧ください。
■オールフォトニクス・ネットワークとは
https://www.rd.ntt/iown/0002.html
※4:All-Photonics Connect powered by IOWN
「All-Photonics Connect」は、お客さまの指定する拠点をPoint to Pointで接続し、10Gbps/100Gbps/400Gbps/800Gbpsの高速大容量・低遅延・省電力な通信を実現します。詳しくは以下ホームページをご覧ください。
■All-Photonics Connect powered by IOWNとは
https://business.ntt-east.co.jp/service/koutaiikiaccess/
※5:タリー
タリーとは、カメラやモニタについている、録画中・配信中であることを視覚的に示すためのランプです。
※6:5Gスライシング
5Gスライシングは、5G SAにおいてネットワークを仮想的に分割(スライシング)し幅広いニーズに対応したネットワークが提供できる技術です。5G SAは、5G専用のコアネットワーク設備である5GC(5G-Core)と、5G基地局を組み合わせて通信を行う方式です。
※7:SMPTE ST2022-7
SMPTE ST2022-7とは、IPネットワーク上で放送番組素材信号を伝送する際のネットワーク冗長性(Hitless Protection)に関するSMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers:米国映画テレビ技術者協会)の標準規格です。
※8:PTP
PTP(Precision Time Protocol)とは、マイクロ秒(百万分の一秒)単位の高精度な時刻同期を実現するネットワークの時刻同期規格です。
プレスリリース情報提供元:@Press
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