サプライチェーン全体のカーボンフットプリント可視化に向けた実証実験を開始

<実証実験イメージ>

<実証実験イメージ>【写真詳細】

<CFP算出/モニタソフト  画面イメージ>

三菱電機株式会社(本社:東京都千代田区、執行役社長:漆間 啓、以下「三菱電機」)、NTTコミュニケーションズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小島 克重、以下「NTT Com」)、SK Inc. C&C(本社:韓国・京畿道城南市、社長:尹 豊榮、以下「SK C&C」)は、サプライチェーンのカーボンフットプリント(以下「CFP」※1)の可視化に向けた実証実験(以下「本実証実験」)を6月1日より開始します。本実証実験では、企業間で安心・安全・円滑に情報を交換できるデータスペース※2の技術を活用して、サプライチェーン全体で発生する温室効果ガス(以下「GHG」※3)排出量を把握するシステム(以下「本システム」)の確立を目指します。
これにより、生産性向上や品質改善を図りながら、エネルギー使用量の削減による脱炭素化を推進し、持続可能な社会の実現に貢献します。

1.実施背景
製造業では、これまで生産性向上や品質改善を進めると同時に、多様化するニーズにも対応するため、多品種生産を行ってきました。近年では、各国や企業がSDGsの取り組みを進め、社会全体で地球環境の保全に向けた取り組みが加速する中、製造業各社は自社のGHG排出量を把握し、エネルギー使用量の削減に取り組むことで脱炭素化を推進してきました。
一方、個別企業だけではなくサプライチェーン全体での脱炭素化がさらに求められており、サプライヤ各社が品種や納入先ごとに算定したCFPの情報を、データ主権※4を確保した上で取引先企業と共有し、サプライチェーン全体のCFPの可視化を進める必要性が一層高まっています。
このようなサプライチェーン全体のCFP可視化を実現するため、異なる企業間でセキュリティを確保しつつ効率的に情報を交換できるように、データを第三者に預けることなく自社の管理下に置いたまま取引先に開示できる「データスペース」と呼ばれる分散型データ連携基盤が構築されています。特に欧州自動車産業を中心に「Catena-X」※5データエコシステムを活用した企業間データ共有への対応が始まっています。
今回、3社共同で「Catena-X」データエコシステムを活用し、CFPを自動算出および可視化するシステムの確立に向けた実証実験を行います。


2.実証実験の概要
サプライチェーン全体にわたるCFPを可視化させるには、世界中にある製造現場からCFP算出に必要なデータを収集するために、国際標準に準拠した企業間データ連携が不可欠です。本実証実験では、シーケンサ※6を活用して製造現場の装置から収集された各種データを基に、CFPの算出および可視化を行います。さらに自動車産業の国際的な企業間データ共有に使われている「Catena-X」データエコシステムの国際標準(以下、「Catena-X」標準)に沿ったシステム間データ通信機能を備えた実験環境を構築し、運用も行います。これは、サプライチェーン全体にわたるCFPの可視化を効率的に実現する仕組みのプロトタイプです。
実用性は以下の通り検証します。

(1)実証実験詳細
【1】期間
2025年6月1日から2025年10月下旬まで(予定)
【2】目的
・製造現場の装置からCFP算出に必要となる電力/エア/生産データなどの情報収集による装置単位のCFP自動算出および可視化までのシステム化の確立
・CFP算出結果を「Catena-X」標準と安全・円滑に連携できる方式の確立
【3】対象製造工程
電気自動車の主要部材となるリチウムイオン電池の製造工程
【4】実証実験の流れ
・完成車メーカと、完成車メーカにリチウムイオン電池を供給するサプライヤを想定し、本実証実験イメージを模擬したシステムを構築。
・リチウムイオン電池サプライヤ側は、製造工程のうちの「積層工程」※7を担う装置から、シーケンサを活用して電力/エア/生産実績などのデータを取得し、自社側のCFP算出/モニタソフトへ送信しCFPを計算。
・CFP算出結果を「Catena-X」標準データ形式に変換し、自社側のストレージへ自動格納。
・完成車メーカ側では、リチウムイオン電池サプライヤへCFP算出結果のリクエストを実行。データ受け取り後、自社側のCFP算出/モニタソフトへ取り込みCFPを確認し、完成車としてのCFPを算出。

なお、両者は、「Catena-X」標準の通信手順およびデータ形式に対応するシステム間データ通信機能を使って、データをやり取りします。これにより、「Catena-X」標準の通信動作制御が実現され、データ主権を保ちながらデータ連携が可能となります。

<実証実験イメージ>
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/436419/img_436419_1.png


<CFP算出/モニタソフト 画面イメージ>
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/436419/img_436419_2.png

(2)実証実験における各社の主な役割
三菱電機 :製造現場での模擬環境の提供と製造現場のデータ収集および関連開発の推進
NTT Com:「Catena-X」標準の通信手順およびデータ形式に対応するシステム間データ通信機能の提供
セキュリティを確保した企業間データ流通を模した実証実験用IT環境の提供
SK C&C :収集データより装置単位でのCFPの自動算出およびモニタリングツールの提供

3.今後の展開
3社は本実証実験を基に、自動車産業を中心とした製造業全体に広く本システムを提案していくことで、サプライチェーン全体におけるCFP可視化の普及を目指します。さらに導入企業拡大によるモノづくり向上とエネルギー使用量削減を図り、持続可能な地球環境の実現に貢献します。

4.各社コメント
三菱電機株式会社
執行役員 FAシステム事業本部 副事業本部長 兼 名古屋製作所所長 田中 貴久 コメント
当社は製造業においてさまざまなFA機器製品群と、デジタル技術を活用したソフトウエア製品およびサービスを供給し、さらなるオートメーションの実現により、ゆとりある社会の実現を目指しています。
今回、NTT ComとSK C&Cとの実証実験を通して、当社の保有する制御技術と両社のCFP算出技術およびセキュアなデータ通信基盤とのトレードオンにより、企業間でのさらなるカーボンニュートラルの加速を促し、脱炭素化を推進することで持続可能な社会の実現に貢献できることを確信しています。

NTTコミュニケーションズ株式会社
執行役員 ビジネスソリューション本部 第五ビジネスソリューション部長 尾川 孝英 コメント
社会・産業DXのマーケットリーダーとして、人と人をつなぎ、コミュニティーをつなぎ、さまざまなビジネスをつなぐことで新たな価値を生み出し、豊かな社会の実現をめざす当社として、持続可能な産業社会の実現に寄与する本実証実験に貢献できることを光栄に思います。
脱炭素化を含むSDGs目標の達成には、個別の要素をつなげ、グローバルサプライチェーン全体の情報を集めて活用することが必要となります。
今回の製造現場の装置やアプリケーションを交えた具体的な実証実験を通じ、製造業全体において、世界中のお客さまが安心してご利用いただけるグローバルでの企業間データ連携の社会実装をめざします。

SK Inc. C&C
役員 製造・グローバルビジネス部門 部門長 金 旻爀 コメント
本実証実験は、3社がこれまでに培ってきた経験と専門性を共有することにより、両国の企業が「持続可能な社会の実現に向けたESG対応力を高める機会」となることを目指しております。当社は、脱炭素化への対応を模索されている日本企業の皆様に対し、信頼できるデジタルESGパートナーとしての役割を一層拡充できるよう、今後も積極的にご支援してまいります。


※1:CFPとは、Carbon Footprint of Productsの略称。
※2:データスペースとは、異なる企業や組織間、国間、異業種間でも信頼性を確保しデータを連携・共有できる標準化された仕組みである、データ空間という概念。
※3:GHGとは、Green House Gas(温室効果ガス)の略称。
※4:データ主権とは、データの開示範囲や利用用途などをデータ提供者の意思で決めることができる権利。
※5:「Catena-X」とは、自動車産業のサプライチェーンでのデータ連携を目的としたデータスペース。
※6:シーケンサとは、産業用機械やプロセスの自動制御を行うための専用コントローラ。
※7:積層工程とは、リチウムイオン電池の製造工程の一つで、正極、セパレーター、負極を順番に重ねることで、電池の基本構造を形成する工程。
※8:EDC(Eclipse Dataspace Connector)とは、「Catena-X」との相互接続に必要な通信を制御するソフトウエア。
※9:OPC UA(OPC Unified Architecture)とは、米国OPC Foundationが策定したプラットフォーム非依存の通信規格。

プレスリリース情報提供元:@Press

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