NTT ComのノーコードAIツール「Node-AI」を活用し、中小産業廃棄物処理業の担当者が自ら高精度の水質予測モデルを開発
<図1:水質日常点検を行っている地点>【写真詳細】
ドコモグループの法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開するNTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)は、中小企業のDXを支援する取り組みに注力しています。NTT Comはこのたび、山口県下関市で最終処分場※1を運営する住吉工業株式会社※2(以下 住吉工業)に対して、ノーコード※3時系列データ分析ツール「Node-AI」※4とデータサイエンティストによる技術サポートの伴走支援を提供しました。
その結果、住吉工業の担当者が自ら、最終処分場における放流水の水質について高精度に予測するAIモデルを開発することに成功し、年間約504時間の労務時間と100万円以上の人件費の削減効果が見込まれる試算結果を得ました。
NTT Comは今回の取り組みをモデルケースとし、AI、IoT、モバイルなどのサービスを活用し中小企業における人手不足などの課題解決のためのDX支援を加速します。
1.背景
最終処分場で発生する排水の水質は環境省が定める放流基準を満たす必要があります。法律では月1回以上の水質の検査が義務付けられていますが、住吉工業では、より安心安全な運営をめざし自主的に水質日常点検を365日実施しており、ポータブルpHメーターを用いて7箇所の測定を行い、各地点のpH値と水温の結果を日々Excelで整理して水質変動を把握しています。
一方、昨今の人手不足の状況下で、休日出勤などの労務管理は課題となっており、休日点検時における労働災害を未然に防ぐためにも休日対応を減らすことは急務でした。そこで、AIなどを活用することで水質の変化を予測し、検査が必要な日を限定するなどの対応を検討していました。しかし、住吉工業では過去15年間の気象や水質管理データを整理していたものの、データ活用人材が不足しており、過去のビックデータを用いた高度な分析ができていませんでした。
そこで、NTT Comが内製開発している、プログラミングの知識がなくてもノーコードで時系列データ分析が実施できる「Node-AI」を活用し、手間をできるだけかけずに水質の予測を行う取り組み(以下 本取り組み)を実施することとなりました。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/436248/img_436248_1.png
<図1:水質日常点検を行っている地点>
2.「Node-AI」の特長と本取り組みの狙い
「Node-AI」は、IoTデータ、売上データなどの時系列データの分析に特化しており、数値予測や異常検知などの課題を解くためのAIモデルを開発できます。Webサイトから登録するだけですぐに分析を開始でき、ブラウザ上でドラッグ&ドロップして前処理や学習などのカードを直感的に組み合わせるだけでプログラミングをせずにAIを開発できるのが特徴です。
また、NTT Comは人材育成を目的とした伴走支援も提供しており、データ分析に不慣れなユーザーも自身の手でAIを開発することができます。
本取り組みでは「Node-AI」を活用し、短時間でデータ分析業務を遂行できる体制の構築と、NTT Comの伴走支援によるデータ活用人材の育成を同時に行うことで、長期的に住吉工業が自らDXを加速させることを狙いとしました。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/436248/img_436248_2.png
<図2:「Node-AI」の直感的な操作画面>
3.本取り組みの内容と効果
本取り組みでは、住吉工業の担当者が、各測定箇所における過去の水質管理データ(pH値・水温・外気温・雨量)をAIに学習させ、2日後の放流口における放流水のpH値を予測するAIモデルの構築を行いました。構築にあたり、NTT Comはデータサイエンティストによる分析テーマ設定支援、ハンズオンを含むAI人材育成セミナーの実施、「Node-AI」上での分析の伴走支援を実施し、自らAI開発ができるデータ活用人材の育成を行いました。
そして、予測結果が法定基準値(pH5.8~8.6)に対して十分に余裕を持ったpH6.1~8.3以内であれば休日の点検業務を実施しないという自主的な基準を定め、既存の水質管理レベルを維持したうえで従業員の休日出勤を削減することを目標に設定してAIモデルを構築しました。そして、AIで予測したpH値と、後日実際に測定したpH値を比較したところ、±0.2の誤差範囲で予測ができたことがわかりました。これにより、休日出勤を完全になくすことで年間約504時間の労務時間を削減でき、年間100万円以上の人件費の削減効果が見込まれる試算結果を得ました。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/436248/img_436248_3.png
<図3:本取り組みの全体像>
4.今後の展開
NTT Comは、今回の住吉工業との成功事例をモデルケースの一つとして、今後はさまざまな業種の中小企業に向けて、Node-AIの導入とデータ活用人材育成の支援をはじめとした、IoT、AI、モバイルなどの中小企業のDXを支援するソリューションを積極的に展開していきます。
5.エンドースメント
住吉工業株式会社 環境産業部 オガワ 泰舗 氏
本結果により、「Node-AI」を活用した未来予測の有効性を確認できたので、複数地点での水質予測に応用したAIモデルの開発を進めることになりました。将来的には、外部に依頼している水質分析結果や未来情報の気象データの取り込みを行い、IoTを活用した各種データの自動取得も加えることで、さらに精度の高いAI予測によるDX化を目指し、業務の改善による働き方の抜本改革を行いたいと思います。
また、本取り組みで得られたデータ活用方法を社内で共有することでデータ活用人材の育成を強化し、さまざまなAI活用を実現するための文化の形成をNTT Comと協力しながら推進していきます。
NTTドコモ、NTT Com、NTTコムウェアは、ドコモグループの法人事業を統合し、法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開しています。私たちは社会・産業DXのマーケットリーダーとして「つなごう。驚きを。幸せを。」をスローガンに、人と人をつなぎ、コミュニティをつなぎ、さまざまなビジネスをつなぐことで、新たな価値を生み出し、豊かな社会の実現をめざします。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/436248/img_436248_4.png
https://www.ntt.com/business/lp/docomobusiness/db2024_sol.html
※1:最終処分場とは、廃棄物を埋め立てて最終的に処分する施設のことです。
※2:住吉工業は、山口県下関市に根差し、土木・建築事業を通じて新しい生活空間を創造し、時代の変化に応じた顧客ニーズに応えることをめざす企業です。
https://kogyo.smgp.co.jp/
※3:ノーコードとは、プログラミング言語を使わずアプリケーションなどを開発する方法のことです。
※4:Node-AIに関する詳細はこちらをご覧ください。
プレスリリース情報提供元:@Press
スポンサードリンク
NTTコミュニケーションズ株式会社の記事
その他の最新プレスリリース
- NTT Comと網屋の資本業務提携について
- 福島県昭和村でドローンポートを活用した遠隔監視下における完全無人でのレベル3.5飛行に成功
- 「音響XR技術を活用した新しい野球観戦」の実現に向けた実証実験を実施
- 「Global InfoSec Awards 2025」においてNTT Comの「OsecT」が、「The Most Promising OT Security」賞を含む5部門受賞
- NTT Comとトランスコスモス、Digital BPO(R)ソリューションの提供を本格的に開始
- 「ユニバーサルサービス料」の改定について
- ビートレンド、ダイナックの会員アプリ『倶楽部ダイナック』リニューアルを支援 ~スマホアプリ/LINEミニアプリのボーダレスな使用感を実現~
- 京都中央信用金庫が音声システムにNTT comのクラウドPBXとスマートフォンを導入
- 災害時や山間部などの屋外環境においてもStarlink Businessアンテナを安全かつ効率的に運搬可能な可搬用リュックの販売開始
- 奥能登へのデジタルサイネージ設置の取り組みを開始