空間IDを活用した建設現場ロボット運用システムを開発
四足歩行ロボット「Spot(スポット)」による建設現場の巡回作業【写真詳細】
竹中工務店(社長:佐々木正人)、NTTドコモビジネス株式会社(代表取締役社長:小島克重、旧NTTコミュニケーションズ、以下 NTTドコモビジネス)、アスラテック株式会社(代表取締役社長:酒谷正人、以下 アスラテック)は、空間ID(※1)を活用した建設現場のロボット運用システム「ロボットナビゲーションシステム」(以下、本システム)を開発しました。
本システムはNTTドコモビジネスが展開する建設現場の作業間調整を支援するサービス「tateras (R)(タテラス)作業間調整」(※2)と、空間IDの3次元位置情報を組み合わせることで、建設現場内におけるロボットの自律移動を可能にしました。これにより、巡回ロボットなどの高精度なルート設定を可能にし、ロボット運用に掛かる手間とコストが削減でき、労働力不足の解消や生産性の向上にも貢献します。
なお、この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務(JPNP22006)の結果、得られたものです。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/519485/img_519485_1.png
四足歩行ロボット「Spot(スポット)」(※3)による建設現場の巡回作業(実証実験より)
(※1)経済産業省などが策定を進めているデータ規格。3次元空間を立方体(ボクセル)に分割し、各ボクセルに固有のIDを割り当てることで、地球上のあらゆる位置が特定できる。
https://www.ipa.go.jp/digital/architecture/guidelines/4dspatio-temporal-guideline.html
(※2)建設現場における様々な作業調整を支援するアプリケーション。日々の作業箇所、重機の位置、資機材の搬出入などの情報を図面上に見える化し、調整業務を大幅に軽減できる。
https://www.ntt.com/business/services/iot_construction/area.html
(※3) Boston Dynamics社が開発した四足歩行ロボット。主に建設現場の屋内外の巡回・軽量物の搬送等に利用可能。現場内の階段昇降、資材置き場周辺など足元に注意が必要な場所でも走破性を発揮し、建設現場向けのロボットとして導入可能。
1.開発の背景
建設業界では、労働力不足の解消や安全性・生産性の向上のために、人の代わりに作業するロボットの開発が進められています。建設現場でのロボット運用には、屋内・屋外間や3次元方向の移動が困難、自律移動に必要なマップの整備にコストが掛かるなどの課題がありました。そこで3社は2022年から、空間IDを活用したロボット運用システムの開発に着手し、四足歩行ロボット「Spot(スポット)」などを用いて、建設現場を巡回させる実証実験を実施してきました。
2.本システムと「tateras作業間調整」の連携における特長
本システムは、「tateras作業間調整」に入力される建設現場の図面および施工管理情報(日々の作業箇所、重機の位置、資機材の搬出入など)をもとにマップを構築し、空間IDを活用してロボットの移動ルートを設定します。
「tateras作業間調整」は、施工管理情報に対して開始・終了時刻と実スケール(mm単位)を付与することが可能です。そのため、ロボットの走行計画の作成時に走行可能な十分なスペースが確保できるかを、時々刻々と変化する施工状況と照らし合わせながら柔軟に計画できます。これにより、日々の工程に応じて変化する立入禁止区域や養生エリアなど、ロボットの点群マップ(※4)だけでは走行可否判断が難しい建設現場においても、高精度なルート計画および自律移動が実現できます。
また、ロボットの移動空間に対しては、3次元空間上の位置を指定可能な空間IDを用いることで、屋内外や上下階の移動が生じる複雑な建設現場においても、各エリアで生成されたマップを統合し、シームレスな自律移動を行います。さらに、空間IDをシステム間連携の共通言語として活用することで、異なる種類のロボットや複数台のロボットの同時運用を実現します。
竹中工務店の建設現場で実施した実証実験では、本システムを用いたロボットの巡回作業により、現場職員の確認作業の負担が軽減され、業務時間を約30%削減できました。また、空間IDをシステム間の共通言語として活用することで、ロボットのシステム開発コストも約30%の削減が可能です。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/519485/img_519485_2.png
空間IDを用いた建物平面図、資機材配置位置、ロボット巡回ルートの統合
(※4)ロボットが自律移動の際に参照する地図のこと。レーザー光でロボット周囲の物体や地形を測定することで、ロボットの身体性を加味した物理的な走行可否判断が可能となる。
3.各社の役割
・竹中工務店
建設現場のナレッジ提供、システム全体企画、実証現場の提供、実証実験効果検証および考察
・NTTドコモビジネス
本システムと「tateras作業間調整」の連携機能の開発、建設現場向けに3次元情報と時間を組み合わせた4次元時空間情報(※5)基盤の提供、実証実験の実施、効果検証および考察
・アスラテック
本システム開発、Spot向けカスタマイズ機能の開発、実証実験の実施
(※5) 3次元情報である空間IDに時間の情報を紐づけ、時間経過で変化する3次元情報を表現することができる情報。
4.今後の展開について
今後はこれまでの実証実験で得られた課題を解決し、2027年の実用化をめざします。
竹中工務店、NTTドコモビジネス、アスラテックは本技術により、現場職員の労働時間を削減して働きやすい建設現場環境の実現に貢献していくとともに、デジタルツイン(※6)活用のための情報化を推進し、建築の設計・生産・運用の効率化を図っていきます。
(※6) 現実世界のデータを基に仮想空間にモデルとして再現し、シミュレーションや分析に利用する技術。
プレスリリース情報提供元:@Press
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