2018年8月 混雑環境におけるスマートフォン動画視聴品質調査

日時: 2018年08月27日 13:00

発表:株式会社 ICT総研

2018年8月 混雑環境におけるスマートフォン動画視聴品質調査

2018年8月 混雑環境におけるスマートフォン動画視聴品質調査【写真詳細】

2018年8月 混雑環境におけるスマートフォン動画視聴品質調査
2018年8月 混雑環境におけるスマートフォン動画視聴品質調査


 株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は8月27日、混雑環境におけるスマートフォン動画視聴品質調査の結果をまとめた。当社では定期的に、さまざまなシーンでスマートフォンの通信速度、つながりやすさの調査を実施してきたが、今回の調査は昨年に続き、ネットワーク混雑環境における動画視聴品質の実態を把握することを目的とした。

■動画再生までにかかった時間は、3社平均 2.5秒。ソフトバンクが2.1秒でやや優勢。

■再生中に動画が停止した割合は、3社平均 2.0%。NTTドコモが昨年よりやや悪化。

■動画のダウンロード完了までにかかった時間は、3社平均 9.7秒。auが8.3秒でやや優勢。

■一時的に人が密集するイベント会場では、ソフトバンクがそれぞれの指標で強み。


 株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は8月27日、混雑環境におけるスマートフォン動画視聴品質調査の結果をまとめた。当社では定期的に、さまざまなシーンでスマートフォンの通信速度、つながりやすさの調査を実施してきたが、今回の調査は昨年に続き、ネットワーク混雑環境における動画視聴品質の実態を把握することを目的とした。

 ネットワークが混雑している状況という点を重視すべく、東京、名古屋、大阪の主要な待ち合わせ場所15地点および、今回新たに音楽フェスや花火大会など一時的に人が密集するイベント5地点を選定。東名阪の待ち合わせ場所については、昼の混雑時間帯(11:30~13:30)または夕方の混雑時間帯(17:00~19:00)に限定した。

 昨年調査では、NTTドコモ、au (KDDI)、ソフトバンクのMNO 3事業者およびMVNO 5事業者を調査対象とし、1事業者あたり10台の端末を同時に接続したが、MNO 3事業者とMVNO 5事業者では測定結果に大きな差がついたものの、MNO 3事業者間では拮抗していた。そこで今回は、MNO 3事業者の中での比較を目的とすべく、調査対象をMNOの3事業者に絞り、1事業者あたり20台の端末を同時接続させるという、より厳しい環境での調査とした。

 調査に使った端末は、各社のiPhone 8。調査に使った動画は、当社が調査用に作成したもの(4Kの解像度で120秒間)であり、昨年調査と同じものである。調査期間は、8月3日から19日まで。


■動画再生までにかかった時間は、3社平均 2.5秒。ソフトバンクが2.1秒でやや優勢。

 動画視聴品質の実態について、「動画再生成功割合」、「動画再生開始待機時間」、「動画再生停止時間割合」、「動画ダウンロード所要時間」の4つの指標で結果をまとめたが、「動画再生成功割合」については、MNO 3事業者は東京、名古屋、大阪の15地点、全ての端末で動画の再生に成功し、動画再生成功率100%を記録した。この結果は、昨年調査と同様である。

 次に、動画再生ボタンを押してから実際に動画の再生が開始されるまでにかかった待機時間を「動画再生開始待機時間」と定義して調査した。その結果、東名阪15地点平均で、ソフトバンクが2.1秒でトップ。

auが2.5秒、NTTドコモが2.9秒となった。地域ごとに見ると、東京エリアにおいて3社の差が最も小さくなっている。東名阪15地点でのMNO 3事業者平均は2.5秒。昨年調査でも2.4秒であり、ほぼ等しいが、ソフトバンクは昨年より改善し、NTTドコモは昨年より悪化した。


■再生中に動画が停止した割合は、3社平均 2.0%。NTTドコモが昨年よりやや悪化。

 次に、動画再生ボタンを押してから実際に動画の再生が開始されるまでの待機時間と、動画再生中に停止していた時間の合計を「動画再生停止時間」と定義し、全体に占めるその割合をまとめた。その結果、ソフトバンク 1.7%、au 2.0%、NTTドコモ 2.3%の順となった。ソフトバンクは昨年調査(1.9%)よりも改善し、auは昨年調査(2.0%)と同等だったが、NTTドコモは昨年調査(2.0%)よりもやや悪化している。


■動画のダウンロード完了までにかかった時間は、3社平均 9.7秒。auが8.3秒でやや優勢。

 最後に、実際に動画再生が開始されてから、ダウンロードバーが完了の位置まで移動するまでにかかった所要秒数を「動画ダウンロード所要時間」として示した。その結果、東名阪15地点平均で、auが8.3秒でトップとなり、ソフトバンクが8.7秒で続いた。NTTドコモは12.1秒と、差を付けられている。NTTドコモは、特に東京エリアで平均15.4秒と苦戦した。MNO 3事業者平均は9.7秒であり、昨年調査の6.2秒と比較してスコアを落としている。昨年調査ではMNO 3事業者間で差は見られなかったが、今回調査では傾向が変わっている。


■一時的に人が密集するイベント会場では、ソフトバンクがそれぞれの指標で強み。

 ここまで示した東京、名古屋、大阪の待ち合わせ場所15地点での調査とは別に、今回新たに測定地点として加えた音楽フェスや花火大会などのイベント会場 5地点においても、同様に4つの指標を測定した。その結果、「動画再生成功割合」はソフトバンクとauが96.0%で同率トップ、「動画再生開始待機時間」、「動画再生停止時間割合」、「動画ダウンロード所要時間」はそれぞれソフトバンクがトップとなった。「動画再生開始待機時間」はソフトバンクが2.8秒なのに対してNTTドコモは96秒、「動画再生停止時間割合」はソフトバンク 2.3%に対してNTTドコモ 18.2%、「動画ダウンロード所要時間」はソフトバンク 8.8秒に対してNTTドコモ 121.4秒と、NTTドコモが大きく引き離されている構図となった。これは「長岡まつり大花火大会」や「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」の結果が非常に悪かったことが要因である。一時的に人が密集するイベント会場では、大都市の主要な待ち合わせ場所以上に、局地的に激しいネットワーク混雑が起きている様子が読み取れる。


 1事業者あたり10台同時接続した昨年調査ではMNO 3事業者に大きな差異は見られなかったが、1事業者あたり20台同時接続と、より過酷な条件にしたこと及び新たにイベント会場を測定地点として追加したことで、今回調査ではMNO 3事業者にも確実に差異が見られた。スマートフォンやタブレットの普及や利活用の拡大、4G高速通信の普及、高品質な映像コンテンツの流通などにより、データトラフィックが爆発的に拡大している中で、ソフトバンクは混雑エリアでの対策に力を入れていると推測される。

 ちなみに、毎年実施してきたRBB SPEED TESTによる通信速度の測定についても併せて実施したが、東名阪 で3事業者下り平均 9.3Mbpsと、前回調査(下り平均 12.5Mbps)を下回った。ソフトバンク 10.0Mbps、au 9.1Mbps、NTTドコモ 8.8Mbpsの順となっている。各社、最大数百Mbpsの下り通信速度を謳っているものの、今回調査のように混雑地点・混雑時間帯での20台同時接続という厳しい条件下だと、なかなかその実力を発揮できないものと見られる。

 ICT総研では今後も、「つながりやすさ」や「通信速度」について、ユーザーが利用するさまざまなシーンを想定し、ユーザーにとって指標となる実測データを定期的に提供していく方針である。


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* 本文中の「MNO」=移動体通信事業者、「MVNO」=仮想移動体通信事業者を指す。

* 動画視聴品質の測定には、当社が調査用に作成したもの(4Kの解像度で120秒間)をYouTube上に

アップロードし、それを再生しながらストップウオッチで各指標を計測した。

* 動画視聴品質および通信速度の測定の際には、1事業者につき20台のiPhone 8を同時に接続して調査した。

* 本資料における全ての文章、数値、表、データは、調査実施時点のものである。

* 動画視聴品質や通信速度は、同じ地点であっても、測定日時や天気、測定端末の向き・高さ、ネット

ワークの混雑状況などにより、大きく変動するものであり、注意されたい。

* 本資料に記載された文章、グラフ等を報道、各種ホワイトペーパー、セミナー資料、学術研究資料等

に転載する場合は、「ICT総研調べ」「出典:ICT総研」などの表記を加えて下さい。



プレスリリース情報提供元:ValuePress!

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